コーリン色鉛筆社長の井口英明さんがタイから来ているということで、ゲストに来てもらってタイ工場の話をしてもらいました。さすが、小学校5年生のココロを持つ男。めちゃくちゃ面白かったです。 秋葉原のカラオケボックスで収録です!
今回はケロさんに来ていただいて、旅のスケッチブックを進めようと思ったんですが、タイからコーリン色鉛筆の社長が来ていると聞いて、急遽社長の井口さんに来ていただきました!
そうなんですよ。
よろしいですか、しゃべって。
こちらが、コーリン色鉛筆の社長でーす!
はい。井口英明。コーリン色鉛筆の社長をやっております!ケロはボスと呼びます。
コーリンナイトの裏話
先日、コーリンナイトという色鉛筆イベントが七夕にあったんです。色鉛筆のトークショーと、その場で色鉛筆を作るワークショップ。タイから小分けに色鉛筆製造機を輸送したんですよね。しかし、司会の文具王さんにしゃべる暇を与えないぐらいしゃべってましたね。今日は文具王さんにも来ていただいてます!
よろしくお願いします。
イベントのときは、半分ぐらいの勢いでしゃべってたんですが。
半分...(笑)。
僕がしゃべってると、横から、やめてください。みたいなオーラーを感じるものでね。
ずっと睨んでました。
ちょうど目の前に時計があって、時計を見ながら、「時間が押してる押してる」って横で言ってるんですが、どう押しているのか僕は分からないわけですよ。タイムスケジュールが目の前にあるんですが、そんなもの僕は見てないですから(笑)。
徹夜で作ったのに...。
わははは。どれぐらい押してたんですか?
トークショーだけで20分ぐらいは押してました。
僕はトークショーが終わってから、色鉛筆の芯を作るワークショップをする予定だったんですね。 いろんなことをしようと思ってたのに、時間がないって散々言われて、焦ったわけですよ。 だから、なるべく短くしようと思って、ワックスの量も少なくして。
色鉛筆を作るのを失敗してましたね(笑)。
わはははは
主催のテリーさんがカメラで撮影してくれてたんですが、僕が作っていたワックスをこぼしてくれたんですよね。
こぼしてくれた!?
こういうイベントにはアクシデントがつきものだ。トラブルがあったほうがいいよ。ってテリーさんはイベント前から言ってたんですよ。 だから、わざとワックスをこぼしてくれたんだな。と思ったんですよ。
いやー、わざとじゃないでしょ(笑)。
絶対違う!
でも、ああいうアクシデントは想定してたんです。
すぐに色鉛筆を作り直してましたね。
はい。おっ、やってくれたな。さすがプロだな。と思って、すぐに作り直したんですが、ロクなものができない。文具王さんもナベを持って手伝ってくれてね。もうしわけない。
そうですよ。文具王さんにそんなことをさせるのはあなただけですよ。
バーナーとナベのつくりを見て、これはバランスが悪いから私が持ちます、って言ってくれてね、申し訳ないけどね。文具王さんはマメな人だなあ。と本当に思いました。
そんな感想かい!
わはははは
あのイベントの衝撃的でした。 僕はコンピューターの仕事してるので、IT系のイベントにはよく行くんですよ。 でも、文房具のイベントは初めてで、コーリンナイトが初めての文房具イベントだったんです。 お台場のカルチャーカルチャーで開催されて、こんなところで鉛筆を作るんやと思ってたら、始まってみたら止まらない話。本当のトークショーでした(笑)。
文房具のイベントはいろいろありますが、かなり際立ってますね(笑)。
あれはスタンダードじゃないです!
じゃ、我々が新たなスタンダードを作っていきますか!
もう、いや...。
わははは。ケロさんから、社長は小学5年生がそのまま大きくなった人です、って聞いてたんです。 本当ですね(笑)。
あー、小学5年生かあ。うちの息子も5年生だけどね。どうりで話があうはずだ。
わはははは
僕が一番面白かったのは、自走式鉛筆製造機なんです。
あれはコーリンコンネリ号ですよ。
走りながら鉛筆を作ってたじゃないですか。でも、下の受け皿がセットされてなくて、馬のうんこみたいに、ポトンポトン、と一定の間隔で緑の鉛筆の芯が落ちてたんです(笑)。
あれはいい絵ですよね。タイの象みたいですね。
わはははは
出来上がった色鉛筆の芯をキャッチできてなかったんですよね(笑)。
井口さんは、めちゃくちゃポジティブですよね。 どんなことがあっても、前向きに取り組める大人ってなかなかいないですよ(笑)。
うんうん。それは大人じゃないからですよ。小学生5年生ですから。
サバイバル能力は高いですよ。
そう、だからね。今日は旅のスケッチセットの話をするために集まったんですが、井口さんの武勇伝も聞いてみたいんです。
武勇伝ですか?
井口英明のタイ武勇伝
普段タイで生活してるんですよね。 そうすると、いろんなアクシデントが起きるんですよね。 そういうのって日常なんですか?
はい、日常ですね。1日24時間あれば、24回は何か起きますね。
毎時間じゃないですか(笑)。
タイではタイ人を雇用してるんですよね。
はい。鉛筆の工場で70名。色鉛筆の芯の工場で30名ぐらい雇用してますね。
そんなにいるんですか!
魑魅魍魎(ちみもうりょう)ですね。100人いれば100人色が違いますから。
ま、そうですよね。
日本人とは全然違うんですよね。
まあ、そうですね。言葉や文化が違いますからね。
雇用しててトラブルとかあるんですか?
少し前になるんですが、ワーカーさんがルールを守ってくれないので、残念ですが、ここでは働いてもらうのは難しい。 申し訳ないですけど、辞めていただけませんか。って言ったことがあるんです。柔らかい感じでね。そしたら、そうですか、という感じで帰っていったんです。
何人ぐらい?
1人。男の子でね。そんで、その日は何事もなかったんですが、次の日に工場が騒がしいんです。
はい。
なんか直角定規を持ったやつがいるんです。大工さんがよく持っているやつです。
ブーメランみたいな?
大きめの三角定規なんですが、黒光りしてるんですね。そんな大きい定規を持ってウロウロしてるんです。 よく見たら、昨日辞めさせたヤツなんです。 何か計りにきたのかな。と思ってたら、先端に丸い穴が空いてて、光ってるんです。
えっ、定規の先端に穴?
穴?
その穴からすごいスピードで鉛みたいなモノが出てきそうなんです。
それ...。
それって。
銃ですよね。
まあ、こういうところで言っていいのか分からないですが。
言っちゃってますけどね(笑)。
だから、一生懸命、定規だって言ってたんですけどね(笑)。 ほんで、仕返しをするみたいなことを言うんです。 撃ちに来たらしいのでね。 本当は武装したらダメなんですけど、さすがに、これはまずいなと思って、エマージェンシーですから、自分を守るために、目には目だろうと考えたんです。 それで、竹やりみたいものを用意したんです。黒光りした竹やりをね。
引き金がついてるんですよね。
これって放送できるんですか?
どうなったんですか(笑)。
やはり、野生の本能ですね。これは始まったら大変なことになる。 一発触発のギリギリで終わったんです。
普通にみんなが工場で仕事しているところですよね。
はい。そこで、上のほうから竹やりで狙い撃ちしようと思ってたんです。 そしたら、その男の兄弟がきて、「気をおさめろよ。こんなところで戦っても仕方ないだろ。」と言ってるんです。 だから、300(スリーハンドレッド)だって言ってやったんです。こっちのほうが人数が多いんです。映画見ました? スパルタ軍です。 上から狙ってるんです。こっちが勝つに決まってるんです。何気に強さを見せつけて、抑止力を働かせて、帰っていってもらったんです。
すごいな。いきなりのエピソードがすごい。
私は日常で聞いてるんで、もう慣れちゃいました。あっそ、みたいな。
たまにコーリンがtwitterでケンカしてるときがあるんですよ。仲良くしろよ、って思うときが結構ありますよ。
エピソードはいっぱいありますよ。
正月のパーティで全員しばく
年に数回パーティやるんですよ。 お酒も入って、みんないい感じになってきて踊りだしてクラブ、ディスコ状態です。 オカマも踊るし、女の子も腰をひねり出して、踊ってるわけです。 全部で200人ぐらいいるんです。ワーカーの家族とか兄弟も遊びにくるんでね。 ドンパチドンパチやってるんです。
わはははは
いやいや、どんちゃんどんちゃん(笑)。 そこでドンちゃんやってると、小競り合いが起きるんです。 男と女の問題が起きて、俺はあいつが好きだ、とかね。 オカマを奪い合ってたりするんです。
タイはオカマが多いですからね。
そうなんです。そして、小競り合いが起きて、 手が滑って誰かが殴ったり、ぶつかってしまって、ドッタンバッタンになってしまったんです。 普段は手を出さないんですが、そのときはあまりにひどかったので、全員投げ飛ばしたんです。 たまにボディーブロー入れてあげたりね。
入れてあげて(笑)。
やさしくやらないと顔とかやると危ないので、顔は避けてね。 そして、サル山の中で、一番強いのは俺だ! というのを見せてあげるんですよ。
それは必要なんですよね(笑)。
ああいう世界ではやっぱり必要ですね。
ケンカが強いやつが工場長なんですか?
でも、そういうことなんじゃないですか?動物園みたい。
昭和の時代はそうだったんじゃないですかね。戦後とか。
腕っ節の弱いやつはタイで工場長はできないですか。
ダメです。やっちゃいけませんよ。 まあ、鉛筆工場だからかもしれませんけどね。 自動車工場とか大手さんの工場長がワーカーさんをぶん投げているところを見たことはないです(笑)。
わははは
相撲をとって天下をとれみたいな。
タイに行ってからトレーニングしたんですか?
いや、私はもともとボクシングもやってましたので。 ベンチプレスも120kgとかガンガンあげますし。
体すごいですもんね。
そのために鍛えているんですよ。 鉛筆ってすごい重いんです。色芯も重いんです。 そういうの自分で運ぶ必要はないんですが、たまにわざと運ぶんです。 1個2個ではなく、一度に5個とか運んだりするわけですよ。 見せつけるわけです。 1日に3回ぐらいそれをやればみんな黙ってますから。
こいつ強いと(笑)。
わはははは
逆らわないでおこうとね。
日本の工場でもそんな感じなんですか?
日本コーリンの工場が茨城の田舎にあったんです。 そこに、海外からコンテナが送られてくるんです。 そういうのが来ると、コンテナ40フィート1本を僕が請け負って、運ぶんです。 会社の中の移動なんですが、2万で請け負って運んでました。
みんなやりたがらないんですね(笑)。
はい。一石二鳥なんですよ。 僕みたいなヤツがそこらへんで走り回っているより、会社もいいので、 2万やるから、荷物は運んどけ。っていう感じですよ。
40フィートの鉛筆って半端ない重さですよ。
半端ないですね。ガンガン運んでいたんです。 そしたら、田舎なんで、田舎のおばちゃんが、いい体してるわあ。って言ってるんですよ。 僕は短パンで上半身裸でやってますから、おばちゃんにモテるんです。 うちの娘の婿に来てくれないか、なんて言われるわけです。 そうすると、じゃ、畑仕事でも手伝いましょうか。みたいな感じですよ。
なんのこっちゃ!
仕事中ですよね(笑)。
そうですよ。
日本にいるときから、やりたい放題なんですね!
そういう調子でやってたんですが、 タイに行くと僕みたいなんは普通なんで、うまく受け入れられたんですね。まあ、みんなは人をぶん投げたりはしませんが。
普通じゃないやん。
すごいなあ。 日本の工場のときも、見せつけてボス的な存在だったですか?
そうですね。そのときは20代で、まだ若かったので、サンドバック蹴ったり、 昼は練習だ、って言って走ったり。なんの練習か分からないですが(笑)。
わははは
井口さんとケロさんの話は漫才
じゃ、タイから日本に帰ってくるとカルチャーショックじゃないですか。
いや、そんなことないですよ。僕はすごく柔軟性があるので。
マイペースなんですよね。
ここに来るときもニーソな女の子とたちに囲まれてお話してたり。
えっ?囲まれた?
なんかめちゃくちゃ詳しいんです。 ケイオンのユイちゃんがなんとか。とか
わはははは
僕はこまごましてるものとか、かわいらしいものが好きなんです。 だから、こういう鉛筆が作れるんですよ。 実は非常に繊細なんです。A型ですから私。
今のところ、繊細さまったく感じてないです。
わははは
なにげに繊細です。
さっき、自分は本当にA型か調べるため献血に入ったんです。 でも、タイに住んでるって言ったらダメですと言われて献血できなかったんですが、心意気だけ渡してきました。
わはははは
何の話や。A型とは関係ないけどな。
ここに来る前に血を抜いとこうと思ったんです。
あー、それは分かる。みんなのペースにあわせんとあかんから。
そういうの気にするんですか?
気にしますよ。おしゃべり泥棒とか言われますから。
全部自分の話にしちゃうんですよ。
こんなこと言われるもんだから、肩身狭いですよ。
そんなことないでしょ!
すっごい気を使ってますよ。 ケロは怒り出すしね。
怒りそうですね(笑)。
そんなことはないですよ!ぜんぜん!
井口さんのマイペースとずーっと一緒だったら、そら怒る人おるやろな。と思う。
わははは
実は、ボクシング習ってるんです。
誰が?
私が。
なんで?ストレス発散?
ううん。負けへんように。
一昨日きやがれって言ったんですよ。
普通に止めようと思っても止まらないので、力には力ということでボクシングを習ってるんです。
半端な力は余計に増徴するってことを知らないんだな。
いや、キックもやってるんです。
いつからやってるんですか。
ええ、半年ぐらい前かな。
社長を殴るために?
社長を殴るためにボクシングを習ってる社員って...。
ええと、鉛筆作られている会社の人ですよね?
わははは
前回のイベントのときに、ケロさんが井口社長のことをボスって呼んでるんですけど、若干、上から目線なんですよね(笑)。コーリンナイトではそういう2人のかけ合いがめちゃくちゃ面白かったんですけど、他の鉛筆メーカーはコーリンのことをどう思ってるんかな。と、ものすごい思いました。路線が違いすぎますよね(笑)。
あっ、わざとそうしている部分もあるんです。 本気で向かっているとすごい叩かれそうなんで。 あなたたちとは違うところで生きてるので、そっとしててください。って感じなんです(笑)。
確かに違いすぎますね。 業種が違う感じですもんね。
これは、大手も対策の取りようがないですもんね。
僕は前から言ってるんですよ。みなさんに嫌われたら大変じゃないですか。ないパイを取り合ってるんですから。 下手下手に出て行きましょう、って。 まあ、それ以前に他社とカブル部分がないから大丈夫だって言われましたけど。
だって、社長自ら、木を削って筆箱を作っているんですよ。
そうなんです。なんでも作りますよ。
サンプルを作るんじゃないんですよね。社長が大量生産してるんですよ。
最初はね、試作品を作ってるつもりなんです。作り直していると、どんどん増えてくるんです。 だったら売ろうかって思うんです。
試作品と量産品って作り方を変えるんですが、試作品を何百個と作るんですね。
わはははは
それも普段の仕事が終わってから、夜中にやるんです。
好きなんですよね。
そうですね。好きなんですね。力が有り余ってますので。
そういうところは、南さんや文具王さんと共通点をちょっとだけ感じますね。 ぜんぜんタイプ違うんですけど、追求するところが似てる。
あ、すごい追求しますね。
トークだけ聞くと感じませんが作ったものとか持っているものを見るとね。あ、これを井口さんが作ったんだ。って
もう、ちっちゃいモノが大好きなんです。
これを作ってる限りは大手は真似できないですね。
まあ、どんとこいですね。
鉛筆以外にもいろいろこういう筆箱作ったり、いろいろ作ってるんですよね。 なんかアンテナが立つんですか?
いや、というかですね、井口さん、できないの?とか言うとやっちゃうんですよね。 そういうのみんなうまいんですよね。
ケロさんが言ってそう(笑)。
わははは。
ちょっと無理やんなあ。とか言うと、次の日に写真が送られてきますね。
よう知っとるんですよ。 女性のほうが上手だなと思うんです。尻にひかれるフリをしてね。
ありがとうございます。
それでうまくバランス取ってね。
バランス取れてますよね。2人とは思えないぐらいの機動力と生産力がありますもんね。
そうですよね。
ただ、綱渡りですよ。どっちかがひっくり返ったらお終いですから。
そうなんですよ。だから、お酒は一滴も飲まないようになりました。 お酒がすごい好きだったんですが、自分が倒れたらお終いと思って、一切飲まなくなりました。
いい心がけだね。
ほんで、ニンニク卵黄を毎日飲んで。
ニンニク卵黄をガーっと飲んで、ニンニクパワーで毎日がんばってます。 ちょっと今日は10個にしとこうかな、とか。
そのモチベーション半端ないですよね。
そんな命がけで働いている人、日本にあんまりいないですよ。
命がけでやれと言ったんです。 死ぬ気でやれと。死ぬ気でやって死んだ人を見たことない。
死んだ人はものが言えないからね。
この前にそういう突っ込みもらいましたね(笑)。
これやっぱり話が終わらないですよね。 僕はずっと聞いときたいし、たぶん聞いてる人も興味深々だと思うんですが、 僕らがやらないといけないのは、コーリン色鉛筆を入れる旅のスケッチブックを作ることないので、いったん井口武勇伝を終了させてもらいます(笑)。
えっ、愉快な仲間たちの話が終わっちゃうんですか?
愉快な仲間たちの話はこれで終わりです(笑)。
わはははは
また機会あれば、ぜひとも話を聞きたいです!いったん終了です。お疲れ様でした。