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【悲劇】カバン工場に断られる!うちではもう面倒見れません。

順調に進み出した「理想のリュック」プロジェクト。フィードバック内容を整理して工場にお願いしたら、予想外の反応が帰ってきた。
「うちの工場ではこのリュックはもうできません。他を当たって下さい。」
えっ。
工場に断られてしまいました...。
...。
言葉を失いました。
...。
でも、冷静に考えたら当然でした。
「理想のリュック」を作りたいと思う我々の要求は時に無理難題で、工場の方々に多大な迷惑をかけていました。更にプロジェクト開始からもう2年半です。完成するかどうか分からない商品にズルズルと拘束されたくないという気持ちが生まれてもおかしくないです。そんなことも見えてませんでした。
「わかりました。今までご迷惑おかけして本当にすいませんでした。では、工場を紹介して頂けないでしょうか。」
「残念ながら難しいですね。力になれずに申し訳ないですが、うちの工場で出来ないから、他でもできないかもしれません。」
今更そんなことを言われても...。
我々の要求はそんなに難易度が高いのか?理想のリュックは作れないのか?
彼らは有名なカバン工場です。彼らが無理なら本当に無理なのかも...。でも、ここまで来て止まれない。気持ちを切り替えるしかない!
そして、工場探しが始まりました。
知り合いに問い合わせしたり。資材屋さん(金具屋さん、生地屋さん)に「いいカバン工場ないですか?」と聞いてみたり。ネットでも探しました。できることは全部しました。ここまできて諦めるわけいはいかない。
そして、10社をリストアップしました。
リュックのサンプルを背負って熱い想いを説明しに行きました。東京、埼玉、大阪、京都、四国。どこでも行きました。
ええ、がんばりましたよ!
我々はトライアンドエラーを繰り返すので、完成するまでの期間が読めない。そういう作り方をしてることも正直に説明しました。一般的な企業は展示会で商品発表したいので、だいたいの納期が予想できる。でも、スーパーコンシューマーのモノ作りは納得するまで続きます。
商品開発の期間が長いのは我々にとってもリスクです。ビジネスとしてこんな作り方がいいとは思っていません。我々だって短期間で終わらせたい。でも、スーパーコンシューマーでは自分たちが満足することをとても大切にしてます。
マニアックな消費者のアイデアをカタチにするプロジェクト、それがスーパーコンシューマーです。「マニアックな消費者」が満足できる商品じゃないと意味がないのです。
工場のリアクションは様々でした。
牽制する工場もありました。いつ発売できるか分からないと工場にとってはリスクです。できませんとは言わないですが、現場に相談しますと言われて、その後に連絡がない場合もありました。
「難易度が高い」とはっきり断られることもありました。やはり我々の「理想のリュック」は工場泣かせのものになっていたのです。
一方で、我々の活動に興味持ってる工場もありました。是非やりましょう!と前向きな反応を頂くこともありました。嬉しかったのは、我々スーパーコンシューマーを知って頂いてる工場が多かったことです。業界に認知されていることを肌で感じました。
10社とのやり取りは予想以上に時間が取られましたが、副産物もありました。
いままで作ったリュックのサンプルを見せたら、構造上の問題を数社に指摘されたのです。長く使ってると破れるかもしれない箇所がありました。いろいろな提案も頂きました。
ファッション系の工場とアウトドア系の工場で意見は全然違いました。さまざまなフィードバックを頂く中で、リュックは用途によって気をつけるポイントが全然違うことがはっきりと分かりました。
いままで我々がお願いしてたカバン工場はビジネスバッグに強い工場です。万能なリュックを求める我々の要求は彼らの得意分野ではなかったのかもしれません。
そして、実績と条件で工場を絞り込みました。
資材調達能力、見積り、話の反応などいろいろ考慮しました。その中で、一番重要と考えたのは前向きかどうかです。我々のモノ作りのスタンスに共感してくれる、一緒にチャレンジしてくれることが大切と考えました。無難なものを作る気はありません。世の中にないものを作ろうとしてるのですから。
最終的に選んだのは2社です。
D工場は登山専門のアウトドアバッグの実績が豊富な工場。パラグライダーとか、登山リュックとか、命を守るような本格的な耐久性が高いアウトドア商品を作ってます。
K工場は、スポーツバッグの実績豊富な工場。登山やアウトドア商品をたくさん作ってます。リュック専門ではないけど、スポーツ系に強い。
話の反応もよくて、自信も感じました。2つとも素晴らしい工場でした。
そして、この2社でコンペして頂くことをお願いしたのです。
我々はIT業界出身者ばかりです。IT業界ではコンペは当たり前です。でも、カバン業界では工場を決める際に、コンペを採用することはかなりレアだそうです。失礼を承知でお願いしました。
それには理由がありました。この2年間、営業に大丈夫と言われても、現場で無理と言われることが多々ありました。だから、作って欲しかったのです。
幸いどちらの工場も快く引き受けてくれました。本当に有り難かったです。
いろんな工場から頂いたフィードバックを反映して図面も書き直しました。機能や外見は変わりません。でも、細かな改善点をたくさん盛り込んだのです。そして、その内容で2社に同じリュックを作ってもらったのです。
ピンチはチャンスに変えるだけです!2015年5月のはなしです。
理想のビジネスリュックができるまで
かわるビジネスリュックの写真
今回のスーパーコンシューマー
コグレ マサト
コグレ マサト
ブロガー。浦和レッズサポーター。好物はハラミとターボとエンガワと上シロ。Evernoteアンバサダー、ScanSnapアンバサダー、カナダアルバータ州ソーシャルメディア観光大使、カルガリー名誉市民 いしたに まさき
いしたに まさき
ブロガー、ライター、WEBマーケティングアドバイザー。2011年アルファブロガー・アワード受賞。 Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』運営。02年メディア芸術祭特別賞、第5回WebクリエーションアウォードWeb人ユニット賞受賞
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スーパーコンシューマーのアイデアがカタチになっていく様子をブログやポッドキャストで配信
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