メディアアーティストの江渡浩一郎さんのアドバイスはさすが経験豊富なプロの意見!
いろんな意見が飛び出して話が広がり、盛り上がりました。これぞブレスト!アドバイスをもらった2人のプロダクトはどんな影響を受けるのでしょうか。
スーパーコンシューマーラジオです!
秋葉原のデジタルハリウッド大学に来てます。
毎週水曜日は、橋本大也さんの研究室でモノつくりを考えています。
今日はゲストに来ていただいてます!
豪華なゲストです!
自己紹介してもらっていいですか?
はい。メディアアーティストの江渡浩一郎です。
今日はデジハリで授業をされてたんですか?
はい。1つ前に橋本大也さんの授業で、
今まで作った作品や私が書いた「パターン、Wiki、XP」という本の紹介をさせていただきました。
みなさん受けられたんですか?
おっ、みんな深くうなずいてますね。
今日は江渡さんに来ていただいたので、今までの取り組みを江渡さんにプレゼンしてもらって、意見をいただきましょうか。
じゃ、森下さんから!
USBメモリケース
はい。私が考えているのは、USBメモリを複数入れられるケースです。
私はUSBメモリを2、3本使ってるんですけど、入れられるケースがないんです。
1個を携帯するものはあるんですが、複数入れられるケースは探しても売ってなかったので、作ってみようと思いました。
マイクロUSBメモリも収納に困るので、入れるポケットを最初から付けておこうと思っています。
森下さんは市場調査もしてて、複数のUSBメモリを収納するケースが市場にない、ということと、複数USBメモリを所有している人が多い、ということはリサーチしてるんです。
はい。少し古い資料なんですが、
6割ぐらいの人がUSBメモリを複数携帯していることが分かりました。
また、紛失率はSDカードに比べて高くなっているんです。
おそらく、USBメモリはポケットにそのまま入れたりするからだと思いますが、
個人情報の流出の記事もあったので、まとめました。
カタチは紙でサンプルを作ったので、見ていただけると分かりやすいと思います。
社会人より学生のほうがニーズがあるという話だったので、素材を少し落としてでも安くしたほうがいいかなと思っていて、素材は検討中です。
どうですか?
なんか、すごいなあ。
ちゃんと調べてるんですね、すごい。
プロセスをちゃんと踏んでいてすごいと思うんです。
僕は、USBメモリを複数携帯しないので、ターゲット外になってしまうのですが、
学生さんに聞くと複数持っている人が多いし、仕事によっては複数携帯することが当たり前の仕事もあるようなので、ニッチながら市場はある。と思ってるんです。
ただ、今使っている人は、筆箱に入れてたり、100円ショップの小物入れを使ってる人がほとんどで、じゃ、どう差別化するんですか。ということが課題だと考えているんです。
うん。そうですね。ええと、僕が呼ばれておきながらどういう立場かよく分かってないんですが(笑)。
僕が多摩美術大学の情報デザイン学科で非常勤で教えてたとき、隣がプロダクトデザイン学科だったんです。プロダクトデザイン学科では、いろんなプロダクトをデザインして展示してました。自転車作ったり、障害者のための器具や、財布もあります。
毎回課題がでて、1ヶ月に1個ぐらいのペースでプロダクトデザインをしているんですが、
プロダクトデザイン学科だと、会社に入ったときに役立つプロダクトデザインスキルを身につけることが目的なので、自転車を売ることを意識せず、自分が考える最高の自転車とは何かを考え抜くんです。
つまり、その分野のトップのプロダクトを目指すんです。
実際、会社に入るとコストとかマーケットは気にすると思うんですが、授業ではまず自分の理想を目指せ、ということなんです。
今、これがF1レースなのか軽自動車なのか、分からないんです。
F1レースとしてコメントを求められると、アーティスティックな尖った表現を考えて、
10万円するけど、世界で5人は買うみたいなものを目指すことになるでしょうし、
商品を目指すのであれば、それなりの考え方になると思うんです。
そもそものコンセプトは商品じゃなくF1なんです。普通のプロダクトだと小規模な組織が勝てるわけないんです。大量生産もできないので。
だから、学生さん発信の世の中にないプロダクトを目指そうという話だったんです。
ただ、みんなが無意識で売れるものとは何かと考え出していて、それは僕も気になっているところなんです。
なるほど。であれば、教えていた立場から言うと、金額を考えずに徹底的に理想を追求します。
どう尖らせるかという方向でコメントすると、一般的には大量にスケッチさせるんですね。
1ページ1アイデアでいろんなバリエーションをどんどん書きます。
1つのプロダクトで100枚ぐらいは普通に描きます。とにかく全部紙に書く。
書き終わったところをスタート地点として、取り組みますね。
なるほど!プロダクトデザインって一般的にはそうやるんですね。僕らは荒削りなもので勉強になります(笑)。南さんが財布作ったときに、100枚スケッチ描いたかというとそうではないです。ただ、彼はたくさんのプロトタイプを作っていました。
手法はいろいろあると思いますが、芸大ではこういうやり方でプロダクトデザインしているわけで、こっちが主流ですよね。非常に参考になります。
森下さんのノート見せてもらったら、落書きがいっぱいあるじゃないですか。
その中に面白そうなのもあるんです。
今の話を聞いて、自分で勝手にボツ案と決めなくていいかな。と思いました。
一番最初にこれを作りたいという話をしたときに、
防水とか摩擦に強い、とかにこだわる人のために作ったらいいと思ったんですが、
みんなと話しているとターゲットが学生ということになってきたので、
防水は金額が高くなりそうで、素材にこだわるのはやめました。
でも、もし私がこだわるなら、USBデータをしっかり保護するために防水とかにこだわりたいです。
見た目で尖らせる案はないんですか?
自分の好みで描いて、シンプルなものになってしまいました。
できるだけ小さくコンパクトにしてみました。
おもしろいカタチは考えてなかったです。
えっと、シンプルって言葉はすごく危険で、「シンプル」と「手を抜いていること」が混同されることがあるんです。
本当の意味でシンプルって難しくて、いろいろ考え抜いた後に使うものなんです。
たとえば、ジッパーでもいろいろなカタチがあると思うんですね。
山のように案を出した後に、全部描いて、1つずつ潰していって、これ以外あり得ないんだ。というプロセスを踏むと本当の意味でシンプルなんです。
探索しきってないシンプルと探索しつくしたシンプルはまったく違うので、それは区別したほうがいいです。
スケッチをもっとたくさん描かないとダメですね・・・。
うん。最初の話に戻るけど、どの方向性で考えるかということなんですね。
今はちょっと美大よりの話になってる気がします。
でも、そのほうが自分は嬉しいです。現場を知ってる人の意見をいただけるのはとても参考になります。他にも何かあったらまた意見ください。
じゃ、いったんここでバトンタッチ。
セオくん行きましょうか。
リストバンド
走るときに、荷物を持つと気になるので、必要最低限の荷物を収納するモノを考えました。絶対必要なのは、小銭入れと鍵だろうということで、リストバンドに収納することを考えています。
類似品があって、どうしようとなったときに、カードを入れれるモノでいいんじゃないかという意見があって、そういう風にしたら世の中にないものが作れるのかな。と思って、考えている最中です。
ええと、ビジュアルはないんですか?
簡単なものしかないんですが、これです。
運動するときなんで、素材は蒸れないで考えています。
自分の欲しいものはなんですか?という感じでスタートしてます。
どんなスポーツするんですか?
キックボクシングです。それでよく走るんです。
走るのは、朝ですか夜ですか?
夜です。夜中です。
朝は起きられないです・・・。
どれぐらいの距離走るんですか?
ええと、距離は決めてないんですが、家が明大前なので、渋谷まで走って帰ってきます。走る景色が同じだと面白くないので、ルートは毎回変えながら、だいたい10kmぐらい走っています。
時間はどれぐらい?
時間にすると、ええと、40分から45分ぐらいかな。
10kmが40分って早いですね!
すごい不思議なんですけど、明るいときより暗いときに走ったほうが疲れないんです。
ほんまに?笑
夜で涼しいからじゃないくて?
違います。感覚的に疲れない。
夜行性なんだな。笑
わははは
走るときは、どんな服装ですか?
Tシャツと短パンです。
僕は財布がすごい重いので、スポーツ用リュックに入れて走ってます。
リュックに財布を入れて走ってるんですか。中は財布だけですか?
財布と携帯ですね。
あと、すごく鍛えたいとき、負荷をかけたいときはリュックに重い本を入れて走ります。
肩が痛くなりませんか?
最初に気になってたので、リュックが体に密着するようにして走ってます。
最近は慣れてきたので、気にならないです。
星飛雄馬みたいですね。笑
わははは
ITとスポーツ
ITとスポーツの関係は各社取り組んでいて、
たとえば、アップルのiPhoneであれば、Nike+というのがあって、靴の中に振動センサーを入れて、どれぐらい走ったか記憶して、
今どのぐらい走りましたとか、1kmが何分です、って言ってくれたりしますね。
ヤマハが作ったプロダクトは、 走るリズムに合わせて自動的に作曲して、音楽を聞かせてくれるんです。そういうプロダクトがすでに商品化されていますね。
研究業界でもそういうの好きな人が結構いて、ランニングマシンとインターネットブラウザを組み合わせて、ランニングマシンで走ると、ウェブページがどんどん見れるとかね。笑
ヤマハが作ったプロダクトは、 走るリズムに合わせて自動的に作曲して、音楽を聞かせてくれるんです。そういうプロダクトがすでに商品化されていますね。
研究業界でもそういうの好きな人が結構いて、ランニングマシンとインターネットブラウザを組み合わせて、ランニングマシンで走ると、ウェブページがどんどん見れるとかね。笑
わははは。なるほど
いろんなアイデアはあるんだろうと思います。
小さいところにこだわらずに、走るというプロセスで本来の目的を達成するために助けるモノは何なのかという視点で考えるといいように思います。
やっぱ、大リーグボール養成ギプスとかで、装着してるだけで自動的に体が鍛えられるとかかな。笑
もう川原でタイヤをひいて走らなくていいんですね。
そうですね。最近、クロスウォーカーっていう下着で、下着なんだけど。
あ!あります。ガードルにもあります。
あれはすごく痩せます。
えっ、効果あるんだ。
巻くだけダイエット?
クロスダイエットはすごいですよ。
私はパン屋で働いているので、パンをいっぱいもらえて、すごい太ってしまったんです。
でも、あれを履いて学校に通っていたら痩せました!
クロスダイエットっていうのがあるんですか?
いや、ガードルを履くだけです。
なんて商品ですか?
ワコールから出てて
あ、クロスウォーカーの女性版だ。
ああー、よくある。
通販でも売ってるんです。
ワコールが一番評判がよかったです。
効果あるんだ。
なんかCMみたいになってますね。笑
是非利用してみてください!
ありがとうございます(笑)。
僕がランニングするときは小銭入れとiPhoneをポケットに入れて走るんです。
鍵はどうしてるんですか?
小銭入れに入れてます。僕の場合は、小銭入れにICカードも1枚入ってます。
それで満足してますね。
走ってるときに上下に動いたりしないですか?
揺れますね。
それが嫌いで僕はバッグをつけてるんです。
どこに付けるのかよいのか?
腕につけるのもあるね。
アップルのアクセサリでもありますよ。
auでも普通の携帯を入れるモノがありますね。SmartSportsとかいうの。
iPhoneが腕時計みたいになるっていうのは?
なるほど。でも、もしかしたら腕に限らず、いろんなところの可能性を考えていいのかなと思いましたね。
たとえば、首の後ろってどう思いますか?
首の後ろ?自分が見えないじゃん。
モノがすぐ取れないからめんどくさくない?
まあ、そのときは外すんでしょうね。
ランニング時に持ち歩かないといけないけど、振動がイヤだからどこに付けようかという話でしょ。
だから、問題ないです。
ランニングとかしてます?
してないです。
でしょ。
走り出す前に付けて、走り終わったら外すので。
ランニングしているときに、途中で休まないでしょ。
僕は休みますよ(笑)。
コンビニ入って、ジュースを買ったりしますよ。
わははは。
ちょっと脱水してきたな。と思ったら休憩しますね。
ああ、そういうときはありますよ。でも、そのときは取り外すのは苦痛じゃない気がしますね。
ああ、走りながらじゃないから。なるほど。そういうことですか。
アイデアがどんどん出てくる
何が一番問題なのかというと、ブラブラするのが問題だから、いいんじゃないですかね。
体の中で一番安定しているところはどこかということですよね。
首の後ろに付けるのは、いいアイデアかもしれないけど、どういう風につけるかが問題ですね。いろいろな紐の素材もありますしね。
はい。そうですね。
リュックを前につける人もいるじゃないですか。
電車で前にリュック付けている人いますよね。
そう。あれのすごい小さいバージョンで、小さなポーチが胸についているような感じ。
ウルトラマンみたいな感じですかね。
ああ、そういう感じ。そういう感じ。
ああ、それいいな。ビジュアルがウルトラマンみたいに見えるとか!
心臓の音にあわせて点滅するとか。
最初に、距離を設定すると、残り3分になると点滅するとか。
わはははは
おもしろいですね。iPhoneのアプリでRun KeeperとかNike+とか、走ることを支援するアプリがあるので、すでにそれを持っていることを前提にして、さらに使いやすくするっていう発想もアリですね。
夜中に走ってると変質者と思われそう。
わははは。ちょっと怖いね。
夜に走ってると、足元を照らしてくれるとか。
ああ
あ、足元のライトに、あと何分とか書いてたらいいじゃないですか?
ああ!
それカッコいいな!
足元にね。
消費カロリーとかね
おもしろいな。そうとう技術的なチャレンジは必要ですけどね(笑)。
実際、小さいプロジェクターは発売されてて、LEDプロジェクターっていうんです。
携帯電話につなげるプロジェクターもauのIIDAから出てるんです。
だから、プロトタイプは作れる気はします。実用するには、かなり小型化しないと使えないですけどね。
どんどんプロダクトが変わってきてる。笑
そうなんですよ。ゲストが来るたびに、セオくんがやりたいことが広がっていくんですね。笑
悩みが増えて、路頭に迷うんです。笑
学生は路頭に迷うのが仕事だからね。笑
わははは。そうですね。なるほど。
何事もとにかく質より量
さっきのプロダクトと同じで、100枚はスケッチして、これはいいけど、これはダメだよ。
ってフィードバックして、残ったものをベースにまた100案作ったりしてブラッシュアップしていくのがいいと思います。
スケッチをひたすら描くというのはすごい効果的なので、バカにせず、質はともかく数をたくさん書くのがいいと思います。
なるほど。
昔にホームページで面白い記事があったんです。
それは、彫刻科の学生に課題を出すんですけど、2つのグループに分けて、テーマを変えたんです。
1つのグループには、「よい彫刻を作りなさい。」という課題で、 もう片方には「質は問わないから数をたくさん作りなさい。」としたんです。
一定時間の後に、彫刻作品を評価したら、量を作りなさいと言ったほうが、よい彫刻が多かったんです。 質より量という結果だったんですが、まあ、分かりますよね。
1つのグループには、「よい彫刻を作りなさい。」という課題で、 もう片方には「質は問わないから数をたくさん作りなさい。」としたんです。
一定時間の後に、彫刻作品を評価したら、量を作りなさいと言ったほうが、よい彫刻が多かったんです。 質より量という結果だったんですが、まあ、分かりますよね。
なるほど
数学の問題も、難しい問題を10問やった人と簡単な問題を100問やった人が1週間後に試験をしたら、
100問やった人のほうが回答スピードが速くて、正解率も上がってたって言ってました。
ふーん。なるほどね。数をこなすっていうのは何事においても重要ですよね。
考えてるだけでなく、手を動かしてアウトプットすることで見えるものがありますから。
僕はウェブサイトの仕事してるんですが、10個のサイト作った人と100個のサイト作った人では100個作ったほうが当然経験値は高いですよ。
みんなもたくさん考えるというのは意識してください。
セオくんのコンセプトはもともと、スポーツしているときにモノを携帯するっていうのが原点ですよね。
それが、リストバンドという仮説だったけど、そもそもリストバンドなのかという見直しはアリなのかもしれない。
自分が欲しいモノは何なのか?っていうことがポイントだと思います。
本当に自分に欲しいものを作るのか、それとも、世の中にないものを作るのか、っていうので僕の中に葛藤があるんです。
でも、本当に欲しいものがそのへんで売ってるなら買うでしょ。
そうですね・・・。
南さんが財布作ったときに言ってたけど、最初は財布を買おうと思って、彼は財布を探してたわけです。たけど、売ってなかったから自分で作ったわけです。
自分が作りたいものというのは、「世の中にない」、「自分が欲しいもの」の両方の要素があると思うんです。
その人だけの「こだわり」が世の中にないから作ろう!となるわけでしょ。
セオくんの場合、格闘技やってる人だけに共感されるものかもしれないですけど、やっぱり自分の欲しいものをベースに考えるのがいいと思います。
それって、全部変えちゃってもいいんですか。
変えちゃう?(笑)。
原点に返ったとき、リストバンドが自分の欲しいモノと違うなら、変えるのもアリでしょ。
リストバンドも検討しながら、他も検討してみます。
スケッチは重要だけど、この場合は、プロトタイプも簡単にできそうなので、やってみてもいいかもしれないですね。
要するに、ある一定の重さのモノを体につけて走ってみれば、安定しているか安定してないかはすぐ分かるでしょう。
僕は、小銭入れで満足はしてますけど、
小銭入れが動くのが気になるのは確かです。
これは全部実験すると分かるので、ハンズでテープ買ってきて、体中につけて走ればいいんですよ。この位置は最悪だとか。1点から10点で評価したりしてね。
それ、おもろいじゃないですか!
意外な場所が見つかるかも!えっ、そこ!みたいな。
実は股間が安定するかもしれないし。笑
(急に文化祭の準備が入り、ここで終了)
じゃ、一旦これで終わります!